地域活動支援センターとは?サービス内容やI型・II型・III型の違い、働く職種などを解説

地域活動支援センターは地域で暮らす障がいのある人に、創作活動や生産活動、社会交流の機会を提供する施設です。地域活動支援センターの種類やサービス、働く職種、利用方法などについて解説します。

地域活動支援センターとは? サービス内容やI型・II型・III型の違い、働く職種などを解説

目次

1.地域活動支援センターとは?

地域活動支援センターとは、障がいのある人に創作活動や生産活動の機会を提供したり、社会との交流の場を設けたりする施設です。障害者総合支援法に基づく施設で、障がい者の暮らしや自立を支える「地域生活支援事業」の一つとして位置づけられています。

前身の小規模作業所とは?

2006年に障害者自立支援法(現:障害者総合支援法)が施行される前は、「小規模作業所」がありました。就労が難しい人でも、簡単な作業をおこなったり、地域の人との交流や相談をしたりする場として機能していました。多くの小規模作業所は当事者やその家族などによって運営されてきましたが、体系的に整理・制度化され、現在の仕組みになっています。

2006年の法改正によって、小規模作業所は地域活動支援センターや就労移行支援、就労継続支援(A型B型)などに移行・細分化されました。現在の地域活動支援センターは小規模作業所の役割を引き継いでいる施設が多く、地域の実情にあわせて運用しているため、活動内容や利用方法は多岐にわたります。

2.地域活動支援センターの事業内容

地域活動支援センターの事業内容は、基礎的事業と機能強化事業の二階建て構造になっています。

二階建て構造の基礎的事業と機能強化事業

基礎的事業

基礎的事業は、すべての地域活動支援センターが実施する基本的なサービスです。主に以下のような活動が含まれます。

  • 創作的活動:手芸、工芸、絵画、習字などの制作活動
  • 生産活動:シール貼りなどの簡単な作業や製品作り・販売など
  • 社会との交流促進:地域住民との交流イベント、環境美化活動など
  • 日常生活に関する相談:生活上の困りごとの相談受付

機能強化事業

機能強化事業は地域活動支援センターの機能をより充実させるために、基礎的事業に加えて実施する取り組みです。地域活動支援センターは機能強化事業の違いによって、Ⅰ型・Ⅱ型・Ⅲ型の3種類に分類されます。

 

機能強化事業の内容

Ⅰ型

  • 精神保健福祉士などの専門職員を配置し、医療・福祉、地域の社会基盤との連携強化のための調整をおこなう
  • 地域住民ボランティア育成、障害に対する理解促進のための普及啓発などを実施する

Ⅱ型

  • 雇用・就労が困難な在宅の障がい者に対し、機能訓練や社会適応訓練、入浴などのサービスを提供する

Ⅲ型

  • 地域の障がい者のための、通所支援の実績が5年以上あり、引き続き事業を実施する

I型・II型・III型の違い

地域活動支援センターのⅠ型・Ⅱ型・Ⅲ型は、提供するサービスのほかそれぞれ1日当たりの利用者数も異なります。

 

1日当たりの利用者数

Ⅰ型

おおむね20人以上

Ⅱ型

おおむね15人以上

Ⅲ型

おおむね10人以上

また、サービスや対象者が異なるため配置される職員にも違いがあり、Ⅰ型には精神保健福祉士などの専門職員の配置が義務付けられています。

3.地域活動支援センターで働く職種・仕事内容

地域活動支援センターでは、障がい者支援に関わるさまざまな職種が働いています。

配置の基準

地域活動支援センターには基礎的事業と機能強化事業の双方に配置基準があり、機能強化事業に取り組む場合、合計職員数はⅠ型・Ⅱ型・Ⅲ型で以下のようになります

 

配置基準

Ⅰ型

施設長:1人*

職員3人以上(2人以上が常勤)

精神保健福祉士など専門職の配置が義務

Ⅱ型

施設長:1人*

職員3人以上(1人以上が常勤)

Ⅲ型

施設長:1人*

職員2人以上(1人以上が常勤)

*施設長は職員を兼務できる

地域活動支援センターで働く主な職種

地域活動支援センターでは、精神保健福祉士や作業療法士などの専門職が連携して、利用者を支援します。一人ひとりの個性や状況に合わせた支援を提供することで、障がいのある人の地域生活を支え、自立と社会参加を促進しています。

精神保健福祉士

精神保健福祉士は、精神障がいのある人の相談支援や社会復帰の支援を担当します。Ⅰ型では精神保健福祉士など専門職の配置が必須です。

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作業療法士

作業療法士は、利用者の機能訓練や社会適応訓練などを担当します。多くの場合、リハビリなどの機能が充実したⅡ型で勤務します。

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生活支援員

生活支援員は、日常生活の支援や創作活動、生産活動のサポートを担当します。生活上の相談を受けたり、利用者と一緒に手芸やレクリエーションを楽しんだりもします。

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職業指導員

職業指導員は、生産活動や作業の指導を担当します。仕事で必要な知識や技術を指導するほか、利用者からの相談にも応じます。

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4.地域活動支援センターを利用する

対象者

地域活動支援センターは、原則としてセンターのある市区町村に居住する障がい者を対象としています。法律上、年齢制限はありませんが「15歳以上」「18歳以上」「65歳未満」などと定めている自治体もあります。

なお、自治体や施設によっては、障害者手帳がなくても「自立支援医療受給者証(精神通院医療)」を保有しているなどの条件を満たせば、利用できる場合もあります。

利用の流れ

利用を希望する場合は、まず市区町村の福祉課または希望する地域活動支援センターに相談し、見学を申し込みます。見学後、市区町村・センターとの手続き・契約が完了すると、利用が可能になります。なお、センターによっては「地域生活支援事業の受給者証」が必要な場合もあります。

費用

地域活動支援センターの利用料は市区町村によって異なります。無料の地域活動支援センターでも、創作活動の材料費、食事代、入浴サービス利用料などに自己負担が発生する場合があります。費用は施設によって異なるため、利用前に確認すると安心です。

5.ほかのサービス・施設との違い

障がい者の生活や就労を支える事業所には、さまざまな種類があります。ここでは、地域活動支援センターとほかのサービス・施設の違いについてみていきましょう。

就労継続支援との違い

地域活動支援センターと就労継続支援は、事業の目的や利用者の収入の有無などが異なります。就労継続支援は障害福祉サービスの一つで、病気や障がいで一般就労が難しい人を対象に、就労機会の提供や職業訓練を実施しています。

 

地域活動支援センター

就労継続支援

目的

創作・生産活動や社会交流

就労機会の提供、職業訓練

収入

基本的に発生しない

給料や工賃が発生する

通う頻度

柔軟に設定

一定ペースの通所が必要な場合も

就労継続支援について、詳しくはこちらの記事で解説しています。
就労継続支援A型とは?仕事内容と平均給料、B型との違いについてわかりやすく解説
就労継続支援B型とは?サービス内容や工賃、職員の仕事内容について解説

就労移行支援との違い

地域活動支援センターと就労移行支援は、事業の目的や利用期間などが異なります。就労移行支援も障害福祉サービスの一つで、一般企業への就労を目指す障がい者を対象に、必要な知識やスキルの習得、就職活動の支援をおこないます。

 

地域活動支援センター

就労移行支援

目的

地域生活の支援や社会参加の促進

一般就労への移行

利用期間

利用期限なし

原則2年間

サービス内容

創作活動や生産活動、交流活動の提供が中心

スキルトレーニングや企業見学・実習など 

就労移行支援について、詳しくはこちらの記事で解説しています。
就労移行支援とは? 職員の仕事内容、給料、就労継続支援・就労定着支援との違いを解説!

精神科デイケアとの違い

精神科デイケアには認知行動療法や、コミュニケーション・パソコンスキルの習得支援など就労支援のプログラムを実施している施設もあるため、地域活動支援センターや就労移行支援と比較されることがあります。両者の主な違いは、制度の目的や費用負担などです。

地域活動支援センターは市区町村の取り組みですが、精神科デイケアは医療機関が実施する医療サービスの一つで、「自立支援医療制度」に分類されます。医療サービスなので、医療機関が実施し、自己負担も発生します。

 

地域活動支援センター

精神科デイケア

目的

地域生活支援や社会参加促進

症状改善や再発予防など医療的な目的

利用料

原則として無料

医療保険が適用され、収入に応じて最大3割の自己負担がある

6.障がい者の地域生活を支える職場

地域活動支援センターは障がいのある人に、創作活動や生産活動、社会交流の場を提供することで、社会生活をサポートしています。Ⅰ型・Ⅱ型・Ⅲ型の3つのタイプがあり、業務内容や利用者の状況も異なります。障がいのある人の生活や社会交流を中長期的に支える業務なので、利用者とじっくり向き合いたい人に適した職場です。

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参考

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